電磁波対策として天然石やパワーストーンは効果あるの?

電磁波対策として、天然石やパワーストーンを使ってみようと思っているけれど「効果はあるの?」や「科学的な根拠はあるの?」といった疑問を持っている人は多いと思います。

そこでこの記事では「電磁波対策としての天然石やパワーストーン」について、効果や根拠、具体的な石の種類などについて、電磁波対策にお悩みの方に向けて分かりやすく解説します。

電磁波対策に効果があるとされる天然石やパワーストーン

以下のような天然石やパワーストーンは、電磁波対策に効果があると言われています。

  • トルマリン
  • シュンガイト
  • アマゾナイト
  • 水晶
  • ヘマタイト
  • 北投石

それぞれの特徴や、電磁波対策に効果があるとされる根拠について解説します。

トルマリン

電磁波対策として天然石やパワーストーンは効果あるの?

電磁波対策に効果があるとされる天然石やパワーストーンのなかで最もよく知られているのが「トルマリン(Tourmaline)」です。

「トルマリンに存在しない色はない」と言われるほどにカラーバリエーションが豊富なことが特徴で、なかでも「ブラックトルマリン」は電磁波を防ぐ効果があると信じられています。

ブラックトルマリンは、和名だと「鉄電気石」です。この名称の由来は、主成分が鉄であること、そして静電気が生じる特性からきています。

ブラックトルマリンは静電気を発生する特性があることから、肩こりや腰痛、さらには電磁波対策にも効果があると拡大解釈され、いつの間にか根拠として定着してしまいました。

広島大学大学院先進理工系科学研究科の助教である大川真紀雄氏は、自身の研究について述べた「研究者の軌跡(*)」のなかで、トルマリンをはじめとする鉱物の効能をうたった商材の流通に対し「科学的に見えますが実はインチキ」と指摘し、警鐘を鳴らしています。

(*)出典:広島大学理学部、大川真紀雄、研究者への軌跡

トルマリンの採掘量のうち95%はブラックトルマリンが占めています。鉱物の世界では「掃いて捨てるほどある石」として扱われているため、高価になることは考えにくいでしょう。

シュンガイト

電磁波対策として天然石やパワーストーンは効果あるの?

電磁波対策に効果があるとされている天然石やパワーストーンには「シュンガイト(Shungite)」も挙げられます。

シュンガイトは、ロシアとフィンランドに面するカレリア共和国のシュンガという町で採れる鉱物のことです。

光沢がある黒色で、見た目とは対照的に硬くて軽く、加工しやすいため、置物や小物などになって流通していることが特徴です。

シュンガイトが電磁波対策に効果があると言われるようになったのは「フラーレン」と呼ばれる成分が含有されているためと考えられています。

フラーレンは、美容医療などに用いられていることがあり、肌の老化の原因である活性酸素を吸収して無害化するのに役立つと期待されています。

シュンガイトに含まれるフラーレンの抗酸化作用によって電磁波も吸収すると解釈されるようになりました。

昨今では、放射線の吸収や、水の浄化、5G対策、さらには宇宙のパワーが得られるなどと、まことしやかな効能も含むかたちで紹介され、広く流通しています。

一方、シュンガイトによって電磁波を防ぐという学術的な根拠は示されていません。電磁波対策としての効果は、あくまでもフラーレンについて拡大解釈された結果と考えるべきでしょう。

複数の医師によって運営されているHealth.comの記事では「シュンガイトを入れた水は、重金属が放出されるため危険」と指摘されています。

アマゾナイト

電磁波対策として天然石やパワーストーンは効果あるの?

「アマゾナイト(Amazonite)」も電磁波対策に効果があるとされる天然石やパワーストーンのひとつです。

アマゾナイトは、緑色をベースにして白色の線状の縞模様が入っており、産出量が多いため、比較的安価に入手できる特徴があります。

電磁波対策に効果があるとされる根拠は分かっていません。有力な説としては「見た目の癒し効果」が挙げられるでしょう。

色合いが優しいことから、癒し、希望、勇気、さらには心身の調和を彷彿させます。スピリチュアルな効果としてもこれらが挙げられますが、医学をはじめ学術的な根拠はありません。

安価であるため、電磁波対策やヒーリング効果といった付加価値を乗せるようにして、高値で販売されているケースが多い。

水晶

電磁波対策として天然石やパワーストーンは効果あるの?

電磁波対策として効果がある天然石やパワーストーンには「水晶(Rock Crystal)」もあります。水晶は、鉱物のなかで最も定番で身近であること、そして入手しやすいことが特徴です。

なぜ水晶が電磁波対策に効果があるとされているのかと言うと「水晶振動子」の印象が拡大解釈されたと思われます。

水晶振動子とは、水晶の圧電現象によって生じる一定の周波数を生む素子のことです。正確な周波数であることから、時計が正確に時間を刻むための原理にも利用されています。

このことから「水晶から波長が生じる」「波長が電磁波を防ぐ」などと解釈され、結果として水晶は電磁波対策に有効と考えられるようになりました。

一方、水晶が電磁波を遮断するといった学術的な根拠はなく、他の石と同様で、拡大解釈されたものと言えます。

同じ水晶グループである「スモーキークォーツ」も電磁波対策に有効として販売されていることがあります。

ヘマタイト

電磁波対策として天然石やパワーストーンは効果あるの?

「ヘマタイト(Hematite)」も電磁波対策に効果があるとされています。ヘマタイトは一種の鉄であり、最も安価な天然石やパワーストーンということが特徴です。

ヘマタイトは和名で「赤鉄鉱」となり、硬く重たいことも特徴です。磁気が含まれる物を「磁気入りヘマタイト」と呼びます。

電磁波対策として効果がある根拠はありません。一方、磁気を含むヘマタイトが電磁波を防ぐという思い込みが広く浸透した結果、ヘマタイトは電磁波対策に有効と考えられるようになった可能性があります。

また、スピリチュアル効果として「身代わりの石」と言われていることから「ヘマタイトは電磁波から身を守る」と結び付けられたかもしれません。

ヘマタイトは非常に安価です。電磁波に関する効果や効能の付加価値によって高くなっている可能性があるので注意しましょう。

北投石

電磁波対策として天然石やパワーストーンは効果あるの?

電磁波対策に効果があるとされる天然石やパワーストーンとして「北投石(Hokutolite)」もあります。

北投石は秋田県にある玉川温泉で産出する鉱物で、日本では1922年には天然記念物として、さらに1952年には特別天然記念物に指定されています。(*)

このことから、北投石の新たな採掘は禁止されており、盗掘騒動や市場価格の高騰などを招いています。

北投石が電磁波対策に有効とされる根拠は、北投石が放射性のラジウムを発することに由来します。ラジウムはガン治療などにも用いられていることから、いつの間にか「北投石はガンが治る」や「北投石は健康に良い」と結び付けられて定着してしまいました。

この結果「北投石は電磁波対策に効果がある」という考えられるようになったようです。昨今では、病気の治療効果や医学的根拠は伴わないものの、民間療法として北投石を利用する人もいるようです。

(*)国土交通省、北投石(ホクトライト): 国の天然記念物

気を付けるべきテラヘルツ鉱石とは

電磁波対策として天然石やパワーストーンは効果あるの?

電磁波対策に効果がある天然石やパワーストーンを調べていると「テラヘルツ鉱石」と呼ばれる物に辿り着くかもしれません。

テラヘルツ鉱石とは、珪素やチタン、ヘマタイトなどが含まれる人工鉱石です。水晶を高温で溶かし、珪素を抽出したうえで、再び結晶化させることで完成します。

テラヘルツ鉱石に対する一般的な解釈は、電波と光の特性によって1秒間に1兆回の振動を生むため、この振動つまり波長が電磁波を遮断したり、調和したりするというものです。

このことから、テラヘルツ鉱石は健康に良いと考える人が続出し、健康グッズや電磁波対策グッズとしてテラヘルツ鉱石が流通するようになってしまいました。

一方、20年以上にわたってテラヘルツ波を研究している、名古屋大学電子工学専攻川瀬研究室の川瀬晃道氏(*)は「(テラヘルツ商法に対し)科学的な根拠が希薄な詐欺紛いの商法」と指摘しています。

テラヘルツ鉱石やテラヘルツ波によって、脳梗塞が治る、心身を癒す、自然治癒力を引き出す、そして電磁波を防ぐといったことは、同氏が強調しているように科学的には証明されていません。

川瀬氏は「過去において、同様に科学的根拠の希薄な遠赤外線グッズで長年儲けた輩がテラヘルツと名前を変えて二匹目のドジョウを狙っているよう」とも指摘していることから、消費者が正しい知識を持つべきと言えます。

(*)名古屋大学電子工学専攻川瀬研究室、「テラヘルツ鉱石などの健康グッズ」に関して

テラヘルツ研究の権威である川瀬氏の名前を使った便乗商法もあるようですので、十分に注意してください。

電磁波対策として天然石やパワーストーンを使う方法

その効果はさておき、電磁波対策として天然石やパワーストーンを使うには、以下のような方法があります。

  • ブレスレット
  • ネックレスまたはペンダント
  • 握り石
  • 置物
  • シールやシート

それぞれ解説します。

ブレスレット

最も手軽な方法が「ブレスレット」です。水晶やアマゾナイトなどのブレスレットを手首に付けることが定番でしょう。

ネックレスまたはペンダント

「ネックレスまたはペンダント」もよくある使い方です。シュンガイトや水晶、アマゾナイトなどが使われているネックレスまたはペンダントを身に付けます。

握り石

「握り石」は手軽な方法です。片手で握れる程度の石を持ち歩くだけで済みます。水晶やアマゾナイトは種類が多いため、有力な選択肢になるでしょう。

置物

電磁波対策として天然石やパワーストーンを使う場合「置物」を活用する方法もあります。例えば、ブラックトルマリンやシュンガイトなどの原石を寝室や仕事部屋に置くことが定番でしょう。

シールやシート

「シールやシート」も選択肢です。シュンガイトを粉砕したものが含まれるシールやシートなどがありますが、視認できないため信頼度に不安が残るかもしれません。

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プラシーボ効果による作用

電磁波対策に天然石やパワーストーンを使うのは「プラシーボ効果」の域と考えるようにしましょう。

プラシーボ効果とは、有効成分が含まれていない偽薬を患者に与えたにもかかわらず、症状の改善が現れる現象のことです。(反対の効果はノシーボ効果)

ごく簡単に言うなれば「本人の気の持ちよう」と言えます。プラシーボ効果が得られる仕組みは、暗示や自然治癒力と考えられていることから、天然石やパワーストーンを使うことで、電磁波の苦痛から解放されたと思い込むことにつながるかもしれません。

出典:Harvard Health Publishing, 2021, The power of the placebo effect

天然石やパワーストーンは、販売価格を吊り上げるために、目に見えない効果や価値を上乗せして販売されやすい商材の代表格と言われています。
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まとめ

電磁波対策に天然石やパワーストーン、さらには人工のテラヘルツ鉱石などが効果的ということは科学的根拠に乏しく、怪しい商売と言わざるを得ません。

電磁波対策として天然石やパワーストーンを使う場合は、まず「根拠がない」ことを理解し、詐欺まがいの商売に遭う可能性を認識しましょう。